戸籍窓口民間委託反対学習会開かれる
東京自治労連は、6月11日(水)東京労働会館ラパスホールで2回目となる『戸籍の民間委託反対学習会』を開催しました。16の単組・組織から58名の参加者でした。
冒頭、荻原淳東京自治労連委員長から「自治体・公務公共の労働組合として、自治体が公的責任に基づき、住民生活を守る役割を発揮することを求め、運動を展開してきました。構造改革との闘いは、住民に役立つ仕事で企業のもうけの餌食にされるなどとんでもないことです。いま、足立で起きていることの攻撃の本質と重大な問題点、闘いの意義と到達点、闘いの展望などを共有して、労働運動の一層の強化を期待したい」と主催者挨拶のあと 足立区職労の鈴木俊治委員長より、足立区が1月1日から富士ゼロックスに戸籍窓口の全面委託を実施する下で、住民とともに、この間闘ってきた経過などを「足立区の戸籍窓口委託問題の到達点」と題して報告を受けました。
定例議会で区長が謝罪!!
6月11日の第2回足立区議会定例会において、区長は「窓口業務が混乱し、区民の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。」と謝罪せざるを得ない状況に陥っています。
鈴木委員長から区職労の聞き取り<戸籍届出>について、@委託業者のミスも多いので、仕事量が増えている。A残業は減らない。土日も出勤し、委託前より、むしろ増えている。Bサブリーダーから何度も聞かれる。C事務処理の速さは、職員が行っていた頃より、倍加しており、区民に迷惑をかけている。D個人情報、プライバシーに問題がある。E5ヶ月あれば準備は万全と言っていた富士ゼロックスは、嘘つき。仕事ができず、何度も同じ事を聞かれる。などの現場の状況についての報告がありました。
当初、戸籍の外部化を突破できれば、全てが外部化可能、と豪語していた総務部長でしたが、自治労連、東京自治労連の法務省とのレクチャーで戸籍外部化の問題点を指摘されています。今後区職労は、6月17日足立区民集会の成功に向けた取り組みと過去の闘いの教訓を生かし、外部化撤回を目指して職員を奮起させ、東京、足立から全国に発信すると頑張る決意が述べられました。
民間事業者の戸籍事務の処理の補助は、市区町村長の指揮監督下でのみ可能
続いて、東京法律事務所の笹山尚人弁護士から 「自治体の仕事と労働者の権利を守ろう」と戸籍法の解釈を中心として講演されました。
―戸籍法―
そもそも、戸籍と住民基本台帳等の管理は、法令により市区町村長が所掌する。
平成20年3月25日付法務省民事第1課補佐官事務連絡
民間事業者が市区町村長の戸籍事務の処理を補助することは、市区町村長の指揮監督下に行われるものです。
内閣府通知別紙の行為は、裁量の余地がないから、市区町村長が契約時に業務内容を包括的に示したうえで委託し、不測の事態等に市区町村職員自らが対応できる体制があるなら、市区町村長が業務を管掌しているといえるから、民間事業者に業務委託できる。
→ここでいう「戸籍謄抄本等の交付請求に関する業務」として、「交付請求書の受領及び本人確認、請求書への記載及び添付書面の確認、戸籍謄抄本等の作成及び引渡し、交付請求書の整理等」「届書の受領及び本人確認、届書への記載及び添付書面の確認、戸籍発収簿への記載、戸籍の記載、届書の整理等。」が、可能な事実行為または補助的行為として分類が記載されている。
民間委託の範囲を超えている 足立区!
足立区では、このアンダーライン該当部分について民間委託を行ったこととなる。
発生している具体的な問題として
- 届書入力作業、届出の不備の補正を求めることについては判断を伴う→そもそも事実行為又は補助的行為といえるのか。
- サービスの低下(待ち時間が長くなるなど)
- 二重構造体制にならざるを得ない中、偽装請負が避けられない
戸籍法上の問題
戸籍法が、市区町村長が管掌するとしていることの趣旨は@戸籍は、我が国の身分法の基礎A戸籍の不正利用の防止プライバシーの保護
偽装請負が避けられないとして、民営化の口実である「民間のノウハウを生かす」は全く、根拠がなく、この足立の問題を大きな社会問題にすることが重要である。と力説されました。
続いて、豊島区職労、文京区職労、世田谷区職労からこの間の取り組みや提案されている内容などの報告がされました。
最後に、「自治体労働者が、住民の安心・安全のために重要な役割を果たしており、住民の主権者としての権利をまもることこそ、住民との信頼関係をつくる。そのために今後も尚いっそうがんばりましょう」と喜入書記次長のまとめで閉会しました。
戸籍の窓口委託の反対運動を住民とともに発展させましょう!
この間、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、東京新聞、都政新報では、足立区の外部委託問題が取り上げられ、運動が大きく広がっています。地方自治体のあり方を問う、戸籍の窓口委託の反対運動を住民とともに、さらに大きくしていきましょう。