住民不在、職員不在で都民医療の後退を招く
都立・公社病院の地方独立行政法人化は許されない
2022年3月30日
東京自治労連中央執行委員会
第1回定例都議会は3月25日に閉会しました。都立・公社病院を7月に地方独立行政法人に移行するための都立病院条例廃止案、法人の中期目標をはじめ、都立病院の地方独立行政法人移行に伴う、医師・看護師など6,838人を削減する議案を自民党、公明党、都民ファ―ストの会の賛成多数で可決・成立させました。
東京自治労連も参加する「人権としての医療・介護東京実行委員会」は、本定例都議会に57,511筆の署名を添えて、「都立病院を廃止するな! 都立・公社病院の地方独立行政法人化の中止を求める請願」を提出したが、この声に耳も貸さず、コロナ禍前に策定した「都立病院を廃止し、公社病院とともに地方独立行政法人に移行する方針」を見直すことなく、議会に提案した小池都知事と賛成した会派・議員に対して、私たちは怒りを持って抗議するものです。
本定例会に当たり、小池都知事は、1月28日に2022年の予算原案、一般会計7兆8010億円、特別会計と合わせた全会計15兆3939億円を発表しました。その中で都立・公社病院の7月移行に向けた予算案も上程していました。これらの予算では、都立病院の病院会計、公社病院の一般会計は4月から6月までの3カ月しか計上していません。しかも、7月以降の病院予算は、福祉保健局の一般会計から「都立病院機構」への負担金として364億6300万円、施設整備に要する資金を貸し付けるとして、67億8800万円が計上されるなど、独法化ありきの予算となっており、総額で547億1900万円が都立病院への支援という名目で新たに福祉保健局内に予算措置がされています。
都民に対しての説明では、「東京都が100%出資する設立法人」だと宣伝していますが、実際は施設設備に関わる予算を貸し付けるものであり、都立病院機構本部は東京都から借金をしてスタートすることになります。
地方独立法人化は、都議会の関与が弱まることや、都民の声も従来と比べ届きにくくなります。また、医療提供体制を弱体化させるばかりか、患者には医療費負担増を強いることになり、東京都として都民のいのちを守る責務を放棄することにつながりかねません。
多くの専門家がコロナ後の医療体制や行政の課題を指摘し、行政改革の名のもとに進められた、経済効率優先の過去の行政運営への反省と転換を求める発言を始めています。
東京自治労連は、都民のいのちと健康を守るため、医療水準の後退を許さず、医師・看護師など職員が安心して働き続けられる職場をめざし、引き続き奮闘するものです。