地方独立行政法人東京都立病院機構定款とその関連議案の成立に抗議する(声明)
2021年10月20日
東京自治労連中央執行委員会
10月13日に閉会した第3回定例都議会で、都直営の都立8病院を廃止し、公社6病院・がん検診センターと統合する「地方独立行政法人東京都立病院機構」設立のための「定款」とその関連議案が可決されました。小池知事は所信表明演説で「医療を取り巻く環境変化に迅速に対応できる体制を早急に構築する」と強弁し、「来年7月からの移行」を表明しました。
都議会本会議の審議の中で、多くの会派・議員から、新型コロナ感染症の拡大で、都立・公社病院が果たしてきた役割を評価する発言と同時に、「経営効率優先の経営が求められ、行政的医療は後退する」、「独法化を契機に医療従事者が流出する可能性も否定できない」と指摘し、「独法化しなければ解決しない不都合はない。都民や職員の合意は得られていない」など中止を求めるよう迫りました。
しかし、都側の答弁は「コロナのような感染症」に対して「機動的な対応」をするために地方独立行政法人化を進めるとの答弁を繰り返すのみで、最後まで道理あるものではありませんでした。
東京都は、都民の命を守れなかった反省もなく、地方独立行政法人化すれば解決するかのように主張することは、断固認められません。
現在、新規感染者数は減少してきています。しかし、病院現場では、職員が今なお必死になって医療を支えています。東京都における感染症病床の3割近くを占め、コロナ対応病床に転換させました。このことは、都立・公社病院が感染症や救急、小児・周産期・へき地などの「行政的医療」を果たす「公的・公立病院」として、都民の命と健康を守っているからです。そのために働いてきた東京都知事部局に所属する都立病院に働く7,000名を超える職員が、非公務員型の地方独立行政法人へ移行されれば、公務員の身分を失う事となり、職員定数を大幅に削減する都政の大リストラ攻撃です。コロナ禍で患者の命を救おうと必死で日夜奮闘する職員に対して、あまりにも大きな負担を強いるものです。
都は、定款可決により来年の7月地方独立行政法人化に向けその手続きを進め、いずれ都議会に「都立病院廃止条例」などが提案されることが予想されます。しかし、コロナ禍で最も迅速に対応し、感染の第6波や新たな感染症への対応でも大きな役割が期待できる都民の貴重な財産である「都立・公社病院」の地方独立行政法人化は断じて認められません。都民や東京都の関与を後退させ、行政的医療の後退につながる「地方独立行政法人化」の撤回を強く求めるものです。
東京自治労連は、「地方独立行政法人東京都立病院機構」設立に反対し、計画の撤回を求め、東京地評や「人権としての医療・介護東京実行委員会」、地域労連や各病院「守る会」などと連携し運動を展開するとともに、都立病院・保健医療公社病院を守る取り組みに都民・組合員とともに奮闘します。