コロナ対応で奮闘する職員への暴挙!都立・公社病院の地方独立行政法人化に向けた定款提出に強く抗議する (声明)
2021年9月15日
東京自治労連中央執行委員会
東京都は、9月28日から開催する第3回定例都議会に、8都立病院、6保健医療公社病院、がん検診センターを一体に地方独立行政法人への移行に向けて「定款」の議案を提案することがわかった。
新型コロナウイルス感染症の拡大が収束せず、重症者、入院出来ないホテル療養、自宅療養者などの対応に当たっている、都立・公社病院職員は連日激務を強いられている。その真っただ中での定款提出は、現場実態を顧みない暴挙と言わざるを得ない。
東京都知事部局に所属する都立病院には、7000名を超える職員が働いている。地方独立行政法人制度は、「公務員制度上の組織や職員配置の制約が少なく、柔軟な人事・給与制度の導入が可能となることをメリット」として、少なくない自治体病院で導入されてきた。非公務員型の地方独立行政法人への移行により、都民の命と健康を守るために働いてきた東京都職員は独法設立の法令施行日をもって公務員としての身分を失うことになる。
病院経営は、公民問わず患者負担と診療報酬によって成り立っている。現行制度の診療体系によって、行政的医療と言われる分野を公立・公的病院の多くが担っており、新型コロナウイルス感染症対応がその典型的である。地方独立行政法人化の最大の目的は財政の効率化を図るためであり、東京都の病院運営予算を削減することに他ならない。現在、東京都の一般会計予算から病院事業に対し、毎年都立病院へ約400億円、保健医療公社病院へも約100億円が支出されている。こうした予算を削減する目的が独法化であり、そのことによって人件費削減が狙われることは明らかである。
東京では、新型コロナウイルス感染拡大によって、医療崩壊が起きている。その要因は、政府が感染症対策への体制整備を軽視したことにある。新自由主義医療政策により、感染症病床が削減され、感染症研究所や地方衛生研究所の予算・人員・研究費の削減、保健所の大幅削減に加え、地域医療構想による病床削減の強行にある。公立・公的病院の役割を軽視した医療政策も医療崩壊の原因ともなっている。感染症をはじめ、救急・小児・周産期・へき地など地域医療に不可欠な「不採算」医療を担っている公立病院を軽視し、再編統合・縮小を進めてきた。都立・公社病院の地方独立行政法人化の方針もその一端である。こうした、効率至上主義、コスト重視によって医療崩壊が起きたことは明白であり助かる命が失われた。独法化によりさらに悪化することが懸念されることから、定款提出に強く抗議する。
東京自治労連は、東京都が計画する都立病院・保健医療公社病院の地方独立行政法人化に反対するとともに、計画の撤回に向け、都民・組合員とともに奮闘するものである。