自治体「構造改革」反対! やりがいのある仕事と働きやすい職場づくり 職場・職種別交流集会76人集う
東京自治労連は、6月15日(土)に今回で2回目となる「職場・職種交流集会」を開催しました。
冒頭、荻原委員長の主催者挨拶に続き、「政府・財界は自治体をどう変えようとしているのか」という観点で「問題提起」を喜入書記長が行いました。
その後「生活保護」「委託された職場・業務」「住民の生命・財産を守るためにー現業職の果たす役割―」「給食・用務の仕事」「講座」の4分科会1講座を開催しました。
「生活保護」では、予め行った職場調査も参考に、各自治体の実態を出し合いました。増員と職場経験を重視した人事政策で異動希望が増え、若手の人気職場となった区役所。その一方、近年職員の増員がなく、業務に悩みメンタルでの病休者が出ている実態などが語られました。どの区役所の職場でも、若手が増える中、高齢者が多い受給者への対応など知識の継承がうまく出来ていないことや事例検討など職場での業務検討が少なくなり、個人の判断が重くなっていることなどが語られました。
「委託された職場・業務」では、「2020都政改革」を実現するための手法として、@仕事改革 A見える化改革 B仕組改革がある中で、2017年12月に発表された見える化改革として、「納税窓口ありきの発想の転換―都税事務所の窓口不要となる状況も想定すべき」という意見が出された経緯の下、証明書発行業務の集中化が行われ、スムーズな業務が滞り、短時間で済んでいたものが、長時間待たされることになった問題、都立病院の運営形態を「PFI」手法に変更して10数年経つが、備品等の指示、依頼、伝達の不便さなどの報告。「足立区の戸籍プライバシー侵害裁判」では、2014年4月1日、戸籍事務の民間委託が始まったものの、2015年1月21日、足立区民1400人が「窓口の混乱、待ち時間の増加など区民サービスの低下、プライバシー権の侵害」で東京地裁に提訴し、13回の口頭弁論の末、2019年3月1日、労働者派遣法違反と認定した判決が出されました。この判決の評価として、国会、区議会での論戦でも論点を明確にし、緻密な法的論証で労働者派遣法違反という判断を得たことは、全国の戸籍事務の民間委託の歯止めになったという報告がされました。
「住民の生命・財産を守るためにー現業職の果たす役割―」では、急増する人口や東京オリンピック・パラリンピック向けの業務も加わり、行政需要が爆発的に増える中、技術職の仕事量が飛躍的に増加していることから、直営体制の必要性を強く訴え、将来を見据えた必要な人員の定数化を実現させ、これ以上の業務委託拡大をさせない取り組みの必要性。現業の仕事は、委託業者にはできない作業も多く、臨機応変な緊急対応など直営だからこそできることを実践し、強調している報告。
また、18年12月に成立した水道法「改正」により、水道事業の「コンセッション方式」では委託が可能になりましたが、民間企業では、採算が取れない場合は、事業を投げ出す事にもなりかねません。「水はいのち」であり、生存権に関わる事業を、儲けを主体とする民間企業に委ねることは出来ないとの報告を踏まえて、交流がされました。
「調理・用務の仕事」は、学校用務や保育園の給食調理・用務職場から16人が参加、全員が職場の実態を語りました。採用の取り組みの中では、分会だけでなく現評や区職労と一体になった取り組みを継続することが重要で、粘り強い取り組みが採用に結びついていること。また、業務の中味を洗い出し検討する取り組みや、委託内容の検証が3区で委託当初から行われており、やりとりの中で、「偽装請負」を摘発し、改善に結び付けている事例があること。地域の住民に仕事を知らせる取り組みとして、「保育まつり」などが行われていることなどが交流されました。
「講座」は、「政府・財界は自治体をどう変えようとしているのか」をテーマに、すでに自治体で行われている「公的サービスの産業化」としての公共施設の複合化や、AIやRPAの活用などを具体的に取り上げた講義となりました。
寄せられたアンケートでは、「職場の実態を知ることが出来た。」「他の自治体のやり方など知ることが出来た。」「今度は若手を参加させたい。」などの感想がありました。
今回は分科会・講座の議論の時間を十分にとりたい。その上、半日開催にという意見が前回出されたため、時間の配分に苦慮しましたが、参加者からは「半日でよかった」と好評を得ました。