参院選後の東京自治労連の憲法闘争の取り組み
- 憲法をめぐる情勢
7月21日の参議院選挙の結果、改憲勢力が多くの議席を占めることとなりました。この結果を受けて安倍首相は投票日翌日の22日に、早くも集団的自衛権行使容認に向けた議論を開始すると記者会見で表明しました。さらに私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)での議論を加速させ、国家安全保障基本法案について政府提出法案で提出したい意向を示しました。安保法制懇は、8月にも議論を再開し、秋にも報告書をまとめる予定です。安倍政権はこれらを受けて憲法解釈を変更し、年末の新防衛大綱に反映させることも検討しています。同日に自民党の石破幹事長は、自民党が党の憲法「改正草案」を国民に直接説明する「対話集会」を開き、さらに全国各地での開催も検討していることを明らかにしました。
これらの状況から、夏から秋にかけて明文改憲、解釈改憲の両分野で、準備が着々と進められ、改憲勢力の結集をねらいながら、来年の通常国会を目途に具体的な法改定に向けた策動が行われる見通しとなりました。
しかし7月24日の朝日新聞発表の世論調査では、「首相に一番力を入れてほしい政策」は「景気・雇用」が1位で、「憲法改正」はわずか4%にすぎず、国民との乖離は明らかです。自民党の元国会議員も96条改定反対を表明し、同党の地方議員や多くの保守層も憲法改正に慎重な態度をとっています。また、参議院選挙で憲法改悪に正面から対決する日本共産党の躍進や、東京では無党派で憲法改悪反対の議員も当選するなど、国会内の改憲阻止勢力と国会外での国民の運動との共同の闘い輪が広がっています。私たちは今、改憲派の「対話集会」をはじめとした策動に対し、憲法の先進性・先見性とこれまでの役割、自民党改憲草案の危険な内容を広め、改憲阻止の世論を広く形成することが求められています。
ここでは東京自治労連としての当面する9月までの取り組みについて提起するものです。憲法改悪をめぐる山場と見込まれる、来年の通常国会に向けた憲法闘争方針については、自治労連大会の意思統一などを踏まえてあらためて提起することとします。 - 定期大会までの闘いの位置づけ
1) 組合員はもとより、すべての公務公共関係労働者に憲法、その役割、解釈改憲と自民党改憲草案の危険性を知らせる 2) これまでの憲法署名を引き続き継続し、全組合員が署名をすることで改憲阻止の意思統一をする。 3) 地域労連や憲法共同センター、各9条の会など、憲法を守る地域組織との共同を強化し、地域から闘う体制を構築する 4) 東京におけるすべての自治体・公務公共労働者の共同を拡大する。 - 当面の具体的な取り組み
1) 各単組が憲法をめぐる情勢を機関紙などを通じて組合員に広く知らせていきます。 2) 引き続き「憲法を改悪せず、第9条を守り抜くことを求める署名」に取り組み、9月末までに組合員数以上の署名に取り組みます。 3) 9月9日(月)の9の日宣伝を全都一斉宣伝行動日と位置づけ、すべての単組で地域の各労働組合・民主団体と共同して宣伝・署名行動に取り組みます。 4) 東京自治労連は、東京と全国の本部組織を中心に池袋、新宿、渋谷の3駅頭で行う、一斉ターミナル宣伝・署名行動に参加します。 5) 9月27日(金)18時半から行われる「憲法をいかす自治体労働者東京連絡会」の憲法講演会(ラパスホール)を、東京のすべての自治体労働者を結集して成功させます。 6) 直面する原水禁大会の成功をはじめ、各単組の平和の取り組みを成功させます。
以上