第11回東京地方自治研究集会報告
単組の自治研推進委員をはじめとして単組のご協力のもと、第11回東京地方自治研究集会は午前、午後のべ1015人の参加で無事に終えることができました。改めて、ご協力にお礼申し上げます。
59の実行委員参加団体の実行委員会を12月14日(水)に終え、今回の総括、次回に向けた意見を頂きました。隔年で開催しています東京地方自治研究集会ですので、2018年に開催する予定とし、休会することを確認しました。
以下のように、総括をまとめました。ご活用下さい。
第11回東京地方自治研究集会 総括
2017年12月14日
第11回東京地方自治研究集会 第7回実行委員会
はじめに
第11回東京地方自治研究集会は12月11日(日)、「憲法をまもり、いかして、くらし・福祉を充実させる東京へ」をテーマに、明治大学リバティータワーで開催しました。
全体で参加者はのべ1000名を超え、実行委員会に参加する59団体以外にも多くの団体、個人・議員のみなさんなどにご参加いただきました。
午前中は本集会の実行委員長の黒田兼一明治大学教授のあいさつ、一橋大学名誉教授の渡辺治氏の記念講演を行い、午後は10の分科会で討論やシンポジウムなど、各分野の本来的なあり方や今日的課題などについて深めました。
今集会には各界、各団体からの参加の他、小平市長、多摩市長、武蔵野市長からもメッセージをいただき、住民のくらし・いのちを大切にして、憲法をいかし地方自治をまもり発展させる本集会への期待が寄せられました。
59団体の実行委員会、110名の分科会運営委員でつくりあげた準備段階からの大きな取り組み
第11回東京地方自治研究集会は、東京自治労連が事務局となり、副実行委員長団体の6団体による第1回会議を2015年9月14日に開催し、実行委員会の体制や開催日程、会場、集会や基調報告の構想について確認してきました。
今回の東京自治研集会は59団体の実行委員会で実施しました。第1回の実行委員会を2015年9月30日に開催し、体制と獲得目標、スローガン、分科会、財政運営期ずんなどについて議論を開始しました。その後2016年11月16日まで6回の実行委員会を開催し、集会終了後ただちに総括の実行委員会を12月14日に開催しました。
基調報告の作成にあたっては、副実行委員長6団体から起草委員を選出し、事務局の東京自治労連とともに執筆にあたって素案を作成し、実行委員会に提案し意見をいただきながら豊かな内容にするよう努めてきました。起草委員会は2016年10月31日までに6回開催しました。
起草委員会、実行委員会と並行して10の分科会が確定後、精力的に運営委員会を開催し、各分科会が3〜4回の運営委員会を開催し、合計34回運営委員会が開催され準備にあたり、分科会の運営委員は110名に及びました。前回に引き続き多くの団体・個人による議論が積み重ねられ、同時にそれぞれの分野での議論自体が政策研究にもなり、運営委員会自体が地方自治研究の場となりました。
実行委員会では2020年オリンピック・パラリンピックについては欠かせないとのことから、分科会として設けるか否かが話されましたが、多くの分野にまたがることからプレ企画として実施することとし、11月19日に開催し73名で成功させました。
基調報告に集約されたすぐれた現状分析と確かな方向性
基調報告には各分野で専門的に運動をすすめている運動体・専門家が、具体的な実態とこれまでの実践をふまえ、分析して政策提起を行った貴重な内容が掲載されています。この中には各分野の改革の方向や視点なども多く盛り込まれています。基調報告の各分野の記述そのものが政策集ともいえます。
基調報告では、これまでの自治体「構造改革」から質的に転換し、「骨太方針2015」で打ち出された「公的サービスの産業化」によって、民間企業に医療・介護などの社会保障、保育園や公共施設、庁舎の窓口業務に至るまで、企業のもうけの場として提供する、産業政策の一環としての委託・民営化を求めていることを明らかにしました。さらに小池都知事が都民世論に押されて待機児童解消やオリンピック・パラリンピックの見直し、豊洲新市場問題などに取り組む一方で、都政改革本部や国家戦略特区推進共同事務局を設置し、いっそうの自治体「構造改革」や規制緩和をすすめようとしていることを示しました。
新たな小池都政のもとで、都民世論に押されながら都政改革をすすめる一方で、都政改革本部や国家戦略特区推進共同事務局などの設置、規制緩和の要請など今後の都政のあり方にかかわる危険な動きについても示しました。今後、「『2020年に向けた実行プラン(仮称)』の策定に向けて 〜 コンセプトと主要政策の方向性 〜」を反映した予算編成が本格的に行われる中で、いっそう小池都政の本質が明らかになってくることも指摘しました。
第11回東京地方自治研究集会で確認したこと
渡辺治一橋大学名誉教授の記念講演では、参議院選挙の結果から安倍自民党が大勝できなかった要因として、戦争法廃止の大きな共同の闘いが力となって、1人区での野党共闘ができたこと、しかも自民党が圧倒的に強かった地方が立ち上がったことを解き明かしてくれました。今後、共同を豊かにするため、平和と生活関連要求などの課題を示し、私たちが政治を変えるための主人公となること、さらに東京を始め大都市圏が出番であり、東京を変え、日本を変えることが重要であることを訴えられました。
基調報告では「公的サービスの産業化」、小池都政の現段階の特徴などに触れ、このことを踏まえて自治体のあり方を見直すことが大切で、都政においても憲法に基づいて運営することが基本であることを示しました。そして東京都や各自治体が住民の基本的人権を保障するために不断の努力が必要であること、さらには都民と接する自治体労働者の役割が重要であり、住民とともに行政を豊かにする努力をする必要について確認しました。
その後各分科会で熱心な討論を通じて、各分野の現状と運動、今後の課題など、これからの東京を変えるための方向性を共有することができました。
都政の民主化に向け、今後へつなぐ課題
私たちの求める行政の実現に向けて、各地域で住民自身が行動し、住民と自治体労働者が共同し、あらゆる分野で共同を広げることが大切です。また、各分科会でも現状と問題点を明らかにし、今後の課題と運動の方向について確認してきたことに基づいて、それぞれの分野でいっそう運動を発展させることが必要です。同時にそれぞれの運動が地域で横につながりながらあるべき自治体の姿を共有することが、行政を民主化する大きな力となるのではないでしょうか。戦争法廃止の運動で作られたような大きな共同への発展と、政治を変える市民共同を展望して運動を進めましょう。
そのためには第11回東京地方自治研究集会の内容を各地域に持ち帰り、地域での自治研活動や各分野での研究活動を大いにすすめ、住民が主人公となる自治体の民主化に向けて取り組みましょう。
第12回東京自治研集会に向けて
私たち東京自治研集会実行委員会は、第11回東京地方自治研究集会の成果を踏まえ、2018年開催予定の第12回東京地方自治研究集会を成功させるために、さらに運動と共同を広げていきます。
このため、集会実行委員会は継続することとし、第12回東京地方自治研究集会に向けた第1回実行委員会開催までの間、休会することとします。
以上