第10回東京地方自治研究集会 総括
2014年12月17日
第10回東京地方自治研究集会 第8回実行委員会
はじめに
第10回東京地方自治研究集会は12月7日(日)、「憲法をまもり、いのちかがやく東京へ−くらし・雇用・福祉優先の都政の実現を」をテーマに、明治大学リバティータワーで開催しました。
突然の解散総選挙のもとでしたが、参加者はのべ900名、実行委員会に参加する60団体以外にも多くの団体、議員や個人のみなさんにご参加いただきました。
午前中は実行委員長の黒田兼一明治大学教授のあいさつ、実行委員会としての基調報告、一橋大学名誉教授の渡辺治氏の記念講演を行い、午後は16の分科会で議論を深めました。
今回の集会には各界、各団体からの参加の他、小平市長、国分寺市長からもメッセージをいただき、東京都及び市区町村の地方自治を研究する集会への期待が寄せられました。
60団体の実行委員会、121名の分科会運営委員で作り上げた大きな集会
第10回東京地方自治研究集会は、東京自治労連が事務局となり、副実行委員会団体の6団体による第1回の会議を2013年11月7日に開催し、実行委員会の体制と基調報告の起草をはじめ、集会の基本構想案について確認してきました。
その後第1回実行委員会を2014年1月29日に開催し、それ以降11月12日まで7回の実行委員会を開催してきました。集会終了後、直ちに総括の実行委員会を12月17日に開催しました。
基調報告の起草委員会は6団体及び事務局の東京自治労連で執筆にあたって素案を作成し、実行委員会に提案して豊かな内容となるよう奮闘してきました。基調報告起草委員会は4月3日に第1回を開催し、9月22日の第5回まで開催してきました。
今回の東京自治研集会の実行委員会参加団体は新たに2団体が参加し、前回と同じ60団体となり、その他にも分科会運営委員会や当日参加の団体が17団体、分科会運営委員は121名にも及びました。前回に引き続き多くの参加団体による議論を積み重ねて作り上げてきた集会となりました。あわせて、それぞれの分科会での議論自体が各分野の政策研究の場ともなり、運営委員会そのものが地方自治研究として価値のあるものとなりました。
基調報告に集約されたすぐれた現状把握と分析
基調報告の貴重な財産は、あらゆる分野の運動体・専門家がこれまでの実践と政策を踏まえて築き上げた各分野の実態と問題点、改善のための方向や基本的な視点や政策が明らかにされたことです。当日の報告では時間の関係から十分な報告に至りませんでしたが、基調報告の各分野の一つひとつに行政にそのまま反映することができる多くの内容が含まれており、この分野の記述自体が貴重な政策集ともいえます。
基調報告では第9回集会からの情勢の変化を明らかにし、自治体「構造改革」の現段階と足立の戸籍窓口委託反対の闘いなどの闘いの教訓を明らかにしました。
都政の特徴では、国家戦略特区をはじめ「構造改革」路線推進する一方で、保育や特別養護老人ホームの新たな施策、オリンピック会場の見直しなど、強い都民要求には応える姿勢を持っていることを明らかにしてきました。最近の都政モニターに示される都民の切実な要求は、運動の展開による都政転換の可能性を秘めたものであり、6兆8336億円という東京都の予算を鑑みれば十分に実現できる要求であることも明らかにしました。
舛添都政のもとで、都民世論を大きく束ね都知事に対するインパクトのあるメッセージを伝えることのできる規模と強さの運動を作り上げる重要性について呼びかけました。
第10回東京地方自治研究集会で確認したこと
渡辺治一橋大名誉教授の記念講演では、安倍政権の特徴は、グローバルな軍事大国化を支える国家をめざす戦争できる国づくりであり、「構造改革」再起動であること、そのための国民の意識改造としての歴史認識の見直しであることを明らかにされました。そのことは国民生活を破壊することになることも解明されました。さらに安倍政権の構想にとって、東京は中心的な位置を占めるという戦略的意義についても明確にされています。
基調報告でも明らかにしたように、舛添都政は「構造改革」路線を発展させつつ、強い要求には応えざるを得ないという、石原・猪瀬都政とは違った側面を持っていることも特徴として確認しました。
これらを踏まえてあらためて都政のあり方について確認をしました。都政運営の基本には憲法があり、憲法に定められた基本的人権を保障するために不断の努力が求められること、都民生活向上のために国に対して必要な施策を講ずることを求めること、必要な情報を都民に公開することなどについて確認しました。また、自治体労働者が住民にとって大切な役割を持っており、都民の声を都政に反映するとともに、都民に不利益な施策には異を唱えることが保障される必要があることも確認しました。
都政の民主化に向けて今後へつなぐ課題として
私たちの求める都政や市区町村政の実現に向けて、大きく3つの点について確認しました。その第一は各分野の多彩な要求を分析し政策化し、一致点にもとづく運動の共同を大きく広げること、第二に各要求分野別の団体・個人と自治体労働者・労働組合との連携によって、さらに大きな共同の運動に発展させること、第三に多くの分野の要求を、立場も分野も違う住民が認識して共有することによって、大きな地域運動として発展させることです。
これらを発展させるために、分野別と地域別の地方自治研究集会が重要です。この取り組みの中で一点共闘から面の共闘へ発展させる展望を切り開き、住民本位の行政のあり方・施策の対案を示すことができます。住民が主人公となる自治体民主化に向けた本格的な取り組みに踏みだしていこうではありませんか。
第11回東京自治研集会に向けて
私たち実行委員会は第10回東京地方自治研究集会の到達点を踏まえて、2016年開催予定の第11回東京地方自治研究集会を大きく成功させるために、これからの運動を広げ発展させて奮闘します。
このため、集会実行委員会は継続することとし、第11回東京地方自治研究集会にむけた第1回実行委員会開催までの間、休会することとします。
以上