舛添都知事の辞任に対するコメント
2016年6月17日
東京自治労連書記長
喜入 肇
舛添都知事は6月15日、辞職願を都議会議長に提出し、同日の都議会本会議で同意されました。4月に日本共産党都議団が明らかにした2年間・8回の海外出張で2億1305万円の豪遊をはじめ、自分の別荘の行き帰りに公用車を使ったこと、さらには美術品購入などに政治資金を流用した疑惑などが問題となりました。この調査に舛添氏は「第三者の厳正、公正な目で調査してもらう」として、自ら依頼した弁護士は「違法ではない」としながら「政治資金の支出としては不適切」との報告を行いました。この疑惑をめぐって都議会ではすべての会派が質疑を行う中で、疑惑はいっそう深まり野党は不信任決議案の提出を決め、ついに与党も不信任決議案を出さざるを得ない状況となりました。こうしたもとで辞職を避けることは困難となったものです。
舛添都知事は就任以来、介護、保育、非正規対策について、都民世論に押されて一定の改善施策を展開してきましたが、その一方で政府・財界の国家戦略にそって規制緩和などをすすめるとともに、外国企業や大企業が活躍しやすい東京づくりに向け大型公共事業などを推進してきました。また、都民が反対する築地市場の汚染された豊洲への移転、危険なオスプレイ配備を行う横田米軍基地の放置など、都民の安心・安全をないがしろにする姿勢も明らかになっていました。これらの都民の期待を裏切る都政運営も背景となって、今回の疑惑をきっかけとして舛添氏に対する多くの批判が集中しました。
猪瀬前知事は医療法人「徳洲会」グループから5000万円の献金を受けた疑惑で辞任し、つづいて舛添氏も政治資金や公費の不正支出による辞任となったものであり、三度このような事態を起こすことは絶対に許されず、表面化した多くの疑惑を放置することは認められません。今後も真相を明らかにし、今後再び同様の事態が起こらないようにすることが重要です。
同時に舛添氏を都知事にした自民・公明両党の責任も重大です。国政においては立憲主義破壊、憲法改悪、国民生活犠牲をすすめる安倍政権を支え、都政においても都民犠牲・大企業優先の施策を進め、政治資金等の疑惑につつまれた舛添氏を全面的に支えてきたのであり、東京自治労連はその責任を厳しく問うものです。
舛添氏の辞任を受けて始まる都知事選挙は、都政の本格的な刷新を求められるものであり、憲法と地方自治の本旨に則った都政の実現こそが必要です。国政において安倍政権が立憲主義破壊の政治を進めているもとで、参議院選挙では野党共闘が前進し、安倍暴走政治ストップの大きなうねりをつくり出しています。このうねりを東京からさらに大きな流れにすることが今般の都知事選挙の大きな役割でもあります。
東京自治労連は、幅広い都民と共同し、都民本位の都政の実現と安倍暴走政権に審判を下すたたかいと位置付け、都知事選挙をすべての単組・組合員とともに全力でたたかうものです。
以上