東京の公立保育園に働く会計年度任用職員の処遇改善をめざし組織化を推進するための方針(案)
2022年6月29日
東京自治労連中央執行委員会
はじめに
自治労連は「誇りと怒りの“3T”アクション」を提起し、会計年度任用職員の処遇改善に向け、全国で運動を広げています。
会計年度任用職員制度の運用から2年が経過しました。制度発足以前よりも処遇が切り下げられたケースや、常勤職員との均衡に齟齬をきたす状況があり、さらには一時金削減にみられるような制度的欠陥が明らかになっています。これにより、会計年度任用職員のモチベーションの維持、さらには生活困難から退職、不当な雇止めなど多くの問題が露呈しています。自治体業務の運営では、職員の約4割以上が会計年度任用職員で占めており、低すぎる処遇から募集しても欠員が生じるなど、公務の運営に支障をきたす事態さえ危惧されます。
公立保育園で働く保育労働者も、正規46.5%に対して、非正規53.5%となり、民間保育園の正規61.6%、非正規38.9%を上回っています。公立、民間を問わず、非正規保育労働者の存在なくして「保育」は成立しないという状況が続いています。
このような状況を打開するために、一人でも多くの会計年度任用職員に労働組合の存在を知らせ、組合への加入を呼びかける必要があります。長引くコロナ危機の影響で、この間、未組織の会計年度任用職員に呼び掛けることは困難でしたが、ようやくそういう機会を設けられるようになってきました。
東京自治労連保育部会は、正規、非正規を問わず、組合員が手をつなぎ、すべての会計年度任用職員と対話し、組合への加入を呼びかけるための方針を策定しました。これをもとに各単組で創意工夫しながら、会計年度任用職員の組織化の取り組みを大きく前進させましょう。
1.会計年度任用職員の現状と課題
公立保育園に働く会計年度任用職員も、期末手当や休暇制度など一部で処遇改善の前進はありました。しかし、「ボーナスは嬉しいけれど、まだまだ生活給には届いていない」「休暇制度は改善されたが人員不足で休めない」「病気休暇など、権利休暇は無給のままなので働くしかない」「雇用期間が明確になったことで、常に雇止めの不安がある」「昇給も正規採用も望めないので転職を考えざるを得ない」「ダブルワークをしなければ生活できない」など、賃金や処遇に対する不満、雇用に対する不安の声も上がっています。
他方、会計年度任用職員制度という新しい制度の導入と新型コロナウイルス感染症の感染拡大がほぼ同時だったことで、ほとんどの会計年度任用職員は、この制度がどんなもので、自分には新たにどんな権利が付与されたのか、今後の任用はどうなるのかなどの情報を得ることができず、その状況は今日も続いています。
保育職場には、不安や悩みがあっても、どこに相談すればいいか、何を頼りにすればいいかわからない会計年度任用職員がたくさんいます。そして、相談できる、頼りにできる労働組合の存在を知らない人もたくさんいます。相談することもできずにあきらめて退職していく会計年度任用職員も多い状況です。
労働組合側から見れば、組合員の組織率を高めることで、要求実現の運動も前進させることができます。
だからこそ、正規と非正規の組合員が協力し合い、すべての職場で、会計年度任用職員との対話を追求し、積極的に労働組合への加入を呼びかける必要があります。
2.運動の基本
(1)会計年度任用職員の処遇改善をめざし、労働組合を強化するために、組織化を進めます。
(2)自治労連の“ほこイカ”アンケートや、東京自治労連保育部会のチラシなどを活用し、すべての単組で、正規・非正規の組合員が力を合わせ、すべての保育職場ですべての会計年度任用職員との対話をめざします。
(3)各単組保育園職場で、会計年度任用職員を対象とした懇談会、学習会の開催をめざします。
3.具体的な運動
(1)各単組保育園職場で会計年度任用職員の組織化方針を確立します。
(2)各単組で、保育園支部・分会・部会と公務公共一般・支部とで組織化の具体的な進め方について検討します。
(3)“ほこイカ”アンケート(締切:7月14日)とチラシを配布しながら組合へ加入を呼びかけます。
(4)“ほこイカ”アンケートの結果集約後、その結果を伝えながら、再度組合への加入を呼びかけます。
(5)今後取り組まれる「会計年度任用職員の安定・処遇改善を求める署名」や各種の保育要求署名などを呼びかけるなど、繰り返し組合への加入を呼びかけます。
(6)その他、必要な運動に取り組みます。
以 上