自治研活動取り組み方針
2017年11月15日
東京自治労連中央執行委員会
1.はじめに
「経済財政一体改革」の「改革工程表」にもとづくアウトソーシングがすすめられ、公共施設等総合管理計画の具体化、委託民営化をはじめとした「公的サービスの産業化」が進行しています。
総務省は10月2日に「自治体戦略2040構想研究会」を開催し、2040年頃をターゲットに「人口構造の変化に対応した自治体行政のあり方」を検討し、「どのような行政経営改革、圏域マネジメントを行う必要があるのか」を明確にするとしており、国家戦略のかなめとなる自治体「構造改革」をいっそうすすめようとしています。
自治体職場では、業務が多様化・困難化している中で、住民の置かれている状況を理解しながら対応するためには、そのために必要な時間と余裕が求められます。しかし職場は度重なる人員削減によって、日常の業務をこなすことも困難なほど人員が不足しています。そのため長時間・過密労働が広がり、職場の仲間と仕事のすすめ方やあり方について会話をする時間もないほど余裕がありません。
こうしたもとで、住民への懇切ていねいな対応も難しくなり、自らの業務について職場の仲間で検討・研究するなどの時間も取れず、スキルを向上させることも困難になっています。職場の十分な執行体制を確立するために、予算と人員を拡充することが大切となっています。
2.求められる自治体労働者の役割と自治研活動
こうしたもとで改めて自治体の役割とは、
第一に、平等性・公平性を確保することです。住民は平等に自治体の施策を受ける権利があり、所得の違いなどによって制限・変化があってはなりません。
第二に、継続性・安定性の確保です。企業は利用者の利益より企業の利益を優先させますが、自治体は企業とは目的が当然異なるため、住民に対して継続的・安定的に施策を提供しなければなりません。
第三に、所得の再配分機能を発揮することです。自治体は税や社会保障などによって、住民の間にある所得格差を是正し、経済的平等を実現する役割があります。
これらの自治体の役割を具体化しているのが自治体労働者です。自治体労働者の権利宣言(案)では「自治体労働者は、地方自治体で働き、『住民全体の奉仕者』としての職務を通じて、住民の生活と権利を擁護するという責務を担う」と、基本的な性格を提起しています。また、「自治体労働者の定員配置は、年休権の完全行使とすべての特別休暇の取得とともに住民本位の行政を保障するものでなければならない。」と明確にしています。自治体労働者がその役割を果たすために、充分な人員配置は欠かせないのです。
このことは自治体労働者の要求実現であるとともに、民主的自治体建設に欠かせないもので、まさに自治体労働組合の役割の根幹と言えるものです。
あらためて自治研活動は何かを整理すると以下のようになります。
(1)第一に自治体労働者と住民の要求を疎外している原因とその打開の方向を明らかにする活動であり、自治体労働者だからこそ自らの業務から分析することができる活動です。この取り組みが職場自治研活動として重要な点で、人員増など職場の切実な要求に応える職場活動となります。
(2)第二に自治体労働者の働きがいを取り戻す活動です。本来住民を守るべき制度が制度改悪によって、住民を苦しめる業務に携わらなければならないこともあります。職場自治研活動で明らかにされたことを住民と共有化し、改善をめざす運動の方向性を明らかにしていくことが重要です。この取り組みが地域自治研活動であり、住民とともに自治体労働者の働きがいを取り戻す運動をすすめる基本となります。
3.具体的な取り組みについて
(1)東京自治労連の取り組み
- 1)東京自治労連の自治研推進委員会を開催し、方針の確認と情報や取り組みの交流を行います。
- 2)とりわけ、切実な予算人員を充分に措置するために、予算人員闘争について現状の把握と取り組みの共有化を図り、予算人員闘争を前進させるために、別途「予算人員闘争をすすめるために」の具体化を図ります。
- 3)東京都、市区の予算分析に取り組みます。
- 4)その他、行政課題についての自治研活動について、随時情報提供を行います。
(2)各単組での取り組み
- 1)単組、局支部の執行委員会に自治研活動の担当者を置き、職場代表を含めた推進体制を確立します。
- 2)単組、局支部で自治研推進のための方針を確立します。その際、自治研活動をどうすすめるかなどの学習をすすめます。
- 3)次世代育成も視野に入れ、職場のベテラン組合員を講師やアドバイザーとして、組合役員のいる職場から、職場で起こっている問題や住民からのクレーム、仕事のすすめ方について、考え合い、改善をめざすとりくみや運動の方向性を検討します。
- 4)各単組で取り組みの交流を行います。
(3)第12回東京地方自治研究集会の取り組み
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2018年12月9日(日)に明治大学リバティータワーで開催予定の、第12回東京地方自治研究集会(以下東京自治研集会)の成功に向けて、以下を基本にすすめます。
- 1)各単組選出の自治研推進委員の参加で、分科会成功に向けた取り組みをすすめます。
- 2)自治研推進委員会では、各単組、局支部での取り組みの交流を行います。
- 3)全体の運営、基調報告の検討、分科会の運営など、東京自治労連の役員・書記、単組選出の自治研推進委員が中心となってすすめます。
- 4)具体的には自治研活動推進委員会で随時意思統一してすすめます。
4.第14回地方自治研究全国集会の取り組み
2018年10月6〜7日に高知県で行われる「第14回地方自治研究全国集会」に連携し、全国の経験も学びながら、全国と東京の地方自治の発展をめざします。
以上