「企業版ふるさと納税」の検討に反対します
2015年7月15日
東京自治体労働組合総連合
書記長 喜入肇
菅官房長官は6月28日の秋田市内の講演で、「企業版ふるさと納税」の検討に言及し、検討のための勉強会を設けることとし、総務省や財務省などの実務担当者が制度設計などの検討に着手し始めました。今年末に決める2016年度税制改正大綱に盛り込み、同年度からの実現をめざすとしています。
菅氏の言い分では、「官民挙げて連携し、自治体に民間資金を投入できるよう法人住民税に何らかの工夫を行う」というものです。この間税の偏在是正を理由にして地方法人税の一部国税化を実施するなど、本来の地方自治体固有の税を、税制度の基本的なあり方を無視した対応が進められてきました。今回の検討もその延長線上にあると言えます。
本来地方税は、その地方で行政施策を享受するものが、その自治体の税を払うということが基本です。現在においても法人が複数の都道府県市区町村に事務所等を設置している場合には、按分して税額を算定して事業所等の存在する自治体に支払われる仕組みがあります。この基本を無視して「企業版ふるさと納税」を行えば、事業所のない地方自治体にも他の自治体に存在する事業所の法人住民税が支払われることとなり、税のあり方そのものを根本から破壊することとなります。
地方の財源不足が深刻であることはすでに衆目の一致するところです。その原因は各自治体が当該住民のいのちとくらし、安全・安心を確保できる住民サービスを保障しうる財源対策を国が責任を持って行わないばかりか、地方財政に対する攻撃を一貫して強めて、地方財政を削減の対象としてきたことに原因があります。法人税減税をはじめとした大企業優遇税制をあらため、地方財政に対する必要十分な措置を行うことこそが国の役割といえます。
東京自治労連は、国の税制度の根本的破壊を許さず、一致する団体・個人と共同して「企業版ふるさと納税」の検討に反対するものです。
以上