都民本位の都政を確立するために、都議会議員選挙で奮闘しよう
東京自治労連
中央執行委員会
はじめに
6月14日告示、同23日投票で都議会議員選挙が実施されます。
都議会議員選挙は、政党を選択する党派選挙として、組合員個々の政党支持や政治活動の自由を保障するとともに、労働組合としての要求実現のために積極的に取り組むことが必要です。都政のあり方は、都民生活はもとより都職員や都内の区市町村職員・関連労働者の労働諸条件に大きな影響を持っています。さらに、首都である東京の選挙結果は、7月の参議院選挙はじめ、国政の動向にも大きな影響を与えます。
自民党が改憲を公約に参院選に臨むことを明らかにし、また、改憲姿勢を鮮明にし、公務員攻撃を続けている維新の会・みんなの党が政策協定を結んで都議会議員選挙に大量擁立を予定するなど、情勢は深刻です。私たちの諸要求を実現するため、また憲法を暮らしに生かすため、都議会議員選挙についての政治啓発の取り組みを進めるものです。
都民を犠牲にした石原都政を継承する猪瀬都政と、それを支える都議会与党勢力
石原前知事の突然の辞任で実施された昨年12月の都知事選挙で、副知事として石原都政を支えてきた猪瀬直樹氏が都知事となりました。
自民・公明・民主の3党に支えられた石原都政は、大型開発を進める一方で、福祉や教育、医療などを切り捨ててきました。高齢者福祉を一例にとると、他の道府県では99年度から11年度の間に、高齢者ひとり当たりの予算を平均して5割以上増やしています。ところが、都だけは老人福祉手当や老人医療制度の廃止、シルバーパスの全面有料化などで、ひとり当たりの予算を3割も減らしています。人口あたりの施設数を見ても、特別養護老人ホームは全都道府県中41位、介護老人福祉施設では46位など、抜きんでた財政力とは裏腹に、大変お粗末な実態となっています。また、国旗掲揚と国歌斉唱を教職員に義務付ける通達を出して停職や減給も含む処分を繰り返し、都教委が高校教科書採択への不当に介入するなど、憲法さえも無視した悪政を続けてきました。
石原前都政の継承を宣言した猪瀬知事は、オリンピック誘致を最大の関心事として、全力を傾けるとともに、くらしや福祉を犠牲にし、大型開発や外国の大企業の呼び込みに熱中する都政を進めています。3月の都議会第1回定例会で審議された予算では、1メートル1億円の外環道建設を推進し、総額2兆円以上の巨大事業に都税を注ぎ込もうとしています。予算と一体となる3年間の重点計画「アクションプログラム2013」では、総事業費の31%を「東京国際競争力」強化の名による3環状道路の建設、「国際コンテナ戦略港湾」の整備、大企業中心の都心・臨海再開発などにあてています。他方、少子化対策や医療対策はそれぞれわずか2%、高齢者対策は3%にすぎません。若者など雇用対策の事業費はわずか0.7%であり、商店街振興対策は項目すらありません。
ところが、この猪瀬知事提案の一般会計予算案について、民主、自民、公明、生活者ネット、維新、みんなの党が賛成し、成立しました(日本共産党、自治市民が反対)。また、築地市場の豊洲への移転を進める13年度中央卸売市場会計予算案については、民主、自民、公明、維新、みんなの党の賛成多数で可決しました(日本共産党、生活者ネット、自治市民が反対)。09年都議選で築地市場の移転反対を公約した民主党は、12年度予算に続いて賛成し、都知事を支える姿勢を顕著にしています。
日の丸・君が代強制問題では、都教委が12年度卒業式で4回連続となる不起立をした教員に対し減給1ヶ月の処分を下し、昨年1月に出された最高裁判決「戒告を超える重い処分は違法」を無視しています。さらに、非常勤の消費生活相談員についての団体交渉を拒否し続け、地方労働委員会、中央労働委員会、東京地裁、東京高裁と4度も断罪されるなど、法を無視する異常な都政運営を行っています。
都政の重点課題として、東日本大震災を教訓に防災計画の抜本的な見直しと住宅の耐震化、不燃・難燃化への助成を抜本的に拡充するとともに、液状化が懸念される豊洲への中央卸売市場の移転取りやめ、保育所の待機児童の解消など、都民本位の都政を実現する取り組みの強化が求められています。
この保育所の待機児童問題では、保護者の運動がマスコミにも大きく報道されています。ところが、猪瀬知事は、認可保育所制度は地価の高い東京には無理がある、認可保育所では待機児童が減らないとし、待機児童を解消するためには規制緩和すべき、との認識を示しています。この猪瀬知事の姿勢を追及した都議会での論戦で、これまで認可保育園について消極的な発言を繰り返していた猪瀬知事も、「認可保育園もつくる」「都有地・国有地も活用できるようにする」と明言するなど、運動で政治を変える状況を築き上げています。
組合員の要求実現を阻む政治勢力に審判を
私たち東京自治労連は、組合員の要求実現と都民生活擁護のために、石原都政や、これを継承する猪瀬都政に対する闘いを続けてきました。しかしながら、都議会には私たちの要求実現を阻む勢力が存在しています。
公的保育・福祉を守る東京実行委員会が12万人余の署名を集め、東京の待機児童の解消と「保育の質」の向上のための予算増額に関する請願を出したところ、3月28日の都議会本会議で自民、公明、民主、維新、みんなの党が反対し、不採択となっています(日本共産党、生活者ネットなどは賛成)。
都民の願いである小児医療の充実の要求に反して、都立3小児病院の廃止条例は自民・公明の賛成で可決されました。さらに「3小児病院の存続と小児精神医療・小児医療充実に対する請願」については、自民・公明だけでなく民主も反対し、採択されませんでした。
「日の丸・君が代」を強制する通達(10・23通達)の強化を求める陳情に対し、民主、自民、公明、無所属などが賛成し可決しています(共産、生活者ネット、みらいは反対)。
都議会は、オリンピック招致を口実とした大型開発や、保育・福祉切り捨てを進める猪瀬都政に対し、都民生活を擁護するために防波堤の役割を果たすことが求められています。
以上から、東京自治労連は、自治体労働組合として、都議会議員選挙にあたっての「東京自治労連基本要求」を明らかにし、都民本位の都政確立を目指して奮闘します。
1) | 都議会議員が憲法をまもり、都政やくらしに生かすことを求めます。 |
2) | 住民のくらしと生活を守るため、自治体構造改革を許さず、自治体・公務公共労働者の労働条件改善を求めます。 |
3) | 自治体正規労働者の定数増を求めるとともに、職員の国の圧力に屈せず、地方公務員の賃下げを実施しないことを求めます。 |
4) | 憲法や労働基準法に基づいた正常な労使関係を確立することを求めます。 |
5) | ワーキングプアを無くし、首都圏で生活できるようすべての労働者の労働条件の向上を図ることを求めます。 |
6) | 子どもたちや高齢者、障害者、保育・福祉・教育・医療の充実をはかり、人にやさしい都政を求めます。 |
7) | 認可保育所の増設を求めるとともに、公的保育制度解体を推し進める役割を果たしている認証保育所制度の抜本的改善を求めます。 |
8) | 都立病院を直営で拡充するとともに、救急医療の充実や、多摩地域などのNICU(新生児集中治療室)整備を促進することを求めます。 |
9) | 小中学校での少人数学級の実施を広げるとともに、教室不足が深刻な特別支援学校の増設を求めます。 |
10) | 「日の丸・君が代」を強制する、異常な都の教育行政の正常化を求めます。 |
11) | オリンピックを口実とした圏央道、外環道など三環状道路の建設など、膨大な税金の支出中止とともに、大企業奉仕が狙いの築地市場の移転中止を求めます。 |
12) | 放射能汚染対策を徹底し、食品の放射線測定を大幅に拡充するとともに、原発ゼロを東京から推進することを求めます。 |
13) | 破綻が明らかになった新銀行東京の廃止を求めます。 |
14) | 三多摩格差をなくし、住みよい三多摩地域の発展を求めます。 |
15) | 横田基地をはじめとする米軍基地・施設を返還させ、平和な東京を求めます。 |