保育園待機児童解消を求める保護者に背を向ける
猪瀬知事発言を厳しく批判する(書記長コメント)
東京自治労連
書記長 田川 英信
杉並区の認可保育園に入れなかった子を持つ保護者らでつくる「保育園ふやし隊@杉並」は、認可保育園の増設を求め、2月22日に行政不服審査法にもとづく異議申し立てを杉並区長に対し行いました。併せて認可保育園に入れなかった1800人分の緊急対策と認可保育園の増設などを求める要望書も提出しました。
この抗議活動を受け、杉並区は待機児童解消に向けた新たな取り組みとして、認可保育園の入所枠100人分の追加確保、「スマート保育(小規模保育整備促進支援事業)」の活用で来年度早々にさらに100人分を増やすことを発表しました。
猪瀬知事は、2月22日の記者会見でこの件について問われ、「基準に合わないと認められないのが認可保育所で、国の官僚機構の縦割りの弊害が待機児童を生んでいる」「認可保育所以外の認証保育所や新しいスタイルの保育所がどんどん生まれていくことが大事で、そうなれば、待機児童は解消できる」と発言しています。
この発言は、子どもの成長・発達を願って、質の高い保育を望む保護者や保育労動者の強い願いに背を向けるものとして、断じて容認出来ません。
待機児童解消のため東京都は、保育の市場化をすすめる「認証保育所」の制度化と推進を中心に位置づけてきました。ここ数年、要望の強まりのもとで認可保育園の一定の設置もすすめましたが、また新たに子ども子育て関連法を先取りして小規模施設=スマート保育を2013年度から制度化するなど、低い保育基準と市場化に待機児童解消の大枠を委ねる動きとなっています。
そもそも、区市町村には保育の実施義務があり、子どもたちに豊かな保育を提供していく責務を負っています。株式会社の参入や認証保育所、小規模保育施設に保育を委ねることは行政の責任放棄であり保育に差別を導入することになります。
東京都全体では、今年4月に認可保育所を希望しながら入れない子どもが23区だけでも1万9000人(2.26付け東京新聞より)に達していることが明らかになっています。待機児童を解消し、全ての子どもに質の高い保育を提供するためには、公立保育園を含めた認可保育園の増設が不可欠です。
東京自治労連は、猪瀬知事の発言を厳しく批判するとともに、保護者の強い要望である認可保育園の増設による待機児童の解消と、子どもたちの豊かな成長を保障する保育を求め、地域での共同を広げ、取り組みを強めるものです。