―― 第5次行動計画補強方針 ――
全力で「新システム」を阻止し、公的保育制度を守り抜こう
2012年2月29日
東京自治労連中央執行委員会
政府は、異論や危惧を押し切り、1月31日基本制度ワーキングチームで最終取りまとめを強行した。新たな情勢と「よりよい保育を!実行委員会」や自治労連の提起を受けて、昨年12月14日に確認した「『新システム』を阻止し、公的保育制度を守るために ―― 第5次行動計画」を補強し、「新システム」関連法の阻止をめざし全力をあげてたたかいを推進する。
T 「新システム」をめぐる情勢
- 1月31日の基本制度ワーキングチームでの議論を踏まえて2月13日出された「子ども・子育て新システムに関する基本制度とりまとめ」は、当初掲げた「幼保一体化による二重行政の解消、待機児童解消」「すべての子どもに質の高い保育・教育を」などが総崩れするものとなった。市町村の保育の実施義務をなくし、保護者と事業者の直接契約の導入、余剰金の株主配当と他会計への繰り入れの容認、施設建設費(減価償却費)を給付に含めることによって、保育を市場化し、株式会社の大量参入に道を開くものとなった。待機児童がいる地域では、事業者の逆選択が強く危惧される。認可外施設を指定制で給付の対象にすることと合わせ、保育の質の低下をもたらすものとなっている。幼稚園はそのまま存続可能であり、2歳児以下の保育所もそのまま存続し、指定制度による認可外施設、地域型保育、家庭的保育、認可保育所が全て移行する総合子ども園と複雑な体系となった。認可保育所は3年程度で総合子ども園に移行。公立保育所は100%市町村負担になることも含め、公立保育所の大規模解体に道を開くものとなっている。保育をどう豊かにしていくかの議論がまったくなされないという驚くべき議論経過であったとともに、どこがよくなるかを示せないものとなった。
- 野田政権は、2月17日「社会保障と税の一体改革」を閣議決定し、3月に関連法を国会に提出するとしている。野田政権は、自民党との大連立による成立を目論んでいるが、野党が協議に応ぜず、消費税増税に対する国民の反対は各種世論調査で軒並み50%を超えており、社会保障の大改悪への批判も強まっている。野田政権が、アメリカと財界の忠実なしもべとして、消費税増税、社会保障改悪、TTP推進、基地押しつけなど民主党の公約と真逆な路線を推進するもとで、政権支持率が急落し、民主党への激しい怒りも広がってきている。国民の批判の世論とたたかいが高まれば、野田政権が窮地に追い込まれることは必至であり、一蓮托生となっている「社会保障と税の一体改革」と「新システム」をともに葬る道が開けてくる。また、「新システム」に対する批判も保育関係者の中に広がり、都道府県の意見書も38府県議会に達している。自民党が「新システム」反対を表明しており、民主党内にも批判的議員が存在している。「新システム」批判の世論を一気に高め、保育関係者の反対の動きを強めることができれば、参議院で与党が少数のもとで、「新システム」を阻むことは可能である。
U 公的保育制度をまもる取り組みの基本
- 「新システム」を許さないたたかいを全力で推進する
「新システム」関連法案の国会提出が3月に予定されるもとで、「新システム」阻止に向けて、これまでのたたかいの蓄積を力に、全力あげた取り組みを推進する。2012年6月の通常国会会期末をメドとして4ヶ月間全力をあげる。取り組みにあたっては、子ども達の豊かな発達を保障する保育を守る共同、待機児童解消の取り組みとの結合を重視する。 - 消費税増税反対などのたたかいと結合した取り組みの推進
「社会保障と税の一体改革」と「新システム」は一蓮托生の関係であり、「一体改革」やTPP問題でも野田政権が大きく追い込まれる可能性もある。「新システム」とのたたかいを強めつつ、消費税増税反対などのたたかいを発展させ、野田政権を国民の怒りと世論で追い込むことをめざす。 - 改めての民間委託・民営化とのたたかい、面積基準緩和とのたたかい、待機児童解消の取り組み
「新システム」を前提としたともいえる公立保育園の民間委託・民営化の動きが東京都内で一斉に出てきており、公的保育を維持・拡充する柱である公立保育園を守る取り組みを、全都的に連携を強めつつ推進する。東京都の面積基準の動きに対して、対都のたたかいを進めるとともに、該当24自治体における緩和を許さない取り組みを推進する。 - また、待機児童解消、豊かな保育をめざす取り組みを、父母や住民と連携し、「新システム」反対と結合して推進する。
V 公的保育制度を守るための具体的な取り組み
- 「新システム」阻止のたたかい
(1)学習の強化・決起集会の開催
最終盤のたたかいを全組合員に依拠してすすめるため、改めて10割学習を重視して推進する。自治労連の学習リーフを活用する。東京自治労連として2万部活用(3月13日頃各単組着予定)。
(2)宣伝・署名活動の展開
保育新署名を20万筆の目標で推進する。期限は、5月13日の保育大集会までを中心に集約し、最終6月10日頃とする。今回の署名は、これまで署名に協力してくれた方に署名を広げてくれるようを依頼することを重視する。保育職場以外の組合員、地域の労働組合・民主団体、父母などに広げることを重視する。
保育園門前、駅頭・地域宣伝をこれまでの到達を超えて宣伝を広げることをめざす。マラソン宣伝も各地域で具体化する。宣伝にあたっては、切実な要求となっている待機児童解消の課題と結合した内容とする。宣伝スポットを作成するとともに、横断幕やのぼり等の作成を検討する。
(3)保育園・幼稚園訪問活動の重視
「新システム」阻止に向けて、保育関係者の反対の世論を強めることは、国会議員、地方議員に対する影響力の点からも重要なポイントであり、重視して推進する。保育園経営者や園長等との対話・懇談・要請では、「新システム」が子ども達の豊かな発達を保障する保育条件を悪化させることへの危惧を共有することを重視する。休暇や金曜日・月曜日の振り替え休暇などを積極的に活用し、すべての民間園や東京自治労連組織のない自治体では共同での推進をめざす。想定問答を含む取り組みの手引を作成するとともに、手渡す資料については、自治労連の提言など精査して東京自治労連で準備する。自治労連提言は、「新システム」の対案として広く保育関係者に提供する。
(4)集会・国会行動・議員要請等の取り組み
[1]明治公園での5月13日(日)保育大集会(5月14日は国会行動)は、この間のたたかいの集大成として、東京自治労連として1200人を目標に全力で参加をめざす。
[2]3月9日の国会・政府要請行動など、今後配置される国会行動、集会を重視して対応する。組合員への休暇による参加も必要に応じて積極的に提起する。
[3]東京選出の衆参国会議員(衆議院42人、参議院25人)の地元事務所への要請を共同した取り組みとして具体化する。
(5)自治体当局要請
自治体当局と、「新システム」について充分な意見交換を行い、公的保育を守る立場での国や区長会に意見を上げるよう要請する。
(6)保護者との共同、地域における共同の拡大
署名宣伝、学習会、集会など保護者との様々な共同を創意を発揮して推進する。各地域で取り組みを通じて、公的保育・福祉を守る実行委員会、保問協の結成や取り組みの強化、地域社保協などでの共同した取り組みを推進する。あと4ヶ月の中で、地域の状況を踏まえた共同の拡大をめざし、今後の足場としていく。 (7)非正規・関連労働者への働きかけの重視
保育職場の非正規労働者及び給食等の委託先の労働者などに、署名用紙やビラ、学習資料を配布し、署名の協力を広げることを重視して取り組む。 - 保育室面積基準緩和とのたたかい
(1)都議会に向けた取り組み
3月中・下旬の厚生委員会への傍聴行動を組織する。
(2)区市に向けた取り組み
面積基準緩和対象の24区市において、都条例で緩和しようとも該当の区市で緩和しないよう、自治体当局、議会に対する運動を推進する。 - 公立保育園の民間委託・民営化に対する取り組み。待機児童解消の取り組み
(1)民営化の動きの分析の上に、取り組み方針素案を6月をめどにまとめ、秋に意思統一と交流の集会を設定する。
(2)待機児童解消の取り組み
乳幼児を抱えた母親が中心で運動を進める足立区の「保育所つくってネットワーク」の運動にも学びながら、切実な要求となっている待機児童解消と豊かな保育をめざす取り組みを、「新システム」反対と一体の取り組みとして父母・住民と共同して推進する。
以上