東京都知事選挙の結果について(コメント)
2011年4月11日
東京自治労連書記長 森田稔
統一地方選挙の前半戦となる知事選挙の一つとして、東京都知事選挙の投開票が4月10日に行われました。今回の選挙は、3月11日にマグニチュード9.0の大地震が発生し、多くの方々が「未曾有」と述べているように、多方面にわたって、かつてない悪条件が重なる中での選挙となりました。被災地では特別立法の制定により選挙そのものが2〜6ヶ月延期されることとなる一方で、千葉県浦安市では80%が液状化の被害を受けたため、市が「選挙を実施できない」と申し出たにもかかわらず、国と県が聞き入れず、市に対して「是正勧告」を行うという異例の事態となりました。
「戦後最大の危機」の下で、復興に国を挙げて取り組むべきという理由から、全国的に選挙を延期すべきという申し入れも行われましたが、党利党略も含めたさまざまな思惑の中で、強行された選挙でもありました。
結果は、4期目を目指した現職の石原慎太郎氏が当選しました。石原氏は、都議会第1回定例会の最終日でもあった3月11日、震災発生の直前に、「最後のご奉公」と称して出馬を表明しました。
投票率が前回より3.45%伸びたにもかかわらず、石原氏は261万5000票と前回比20万、前々回より50万近く票を減らしました。「革新都政をつくる会」から出馬した小池あきら氏は62万4000票、前回の吉田万三氏とほぼ同数を獲得しましたが、及びませんでした。 石原「構造改革」都政を転換し、「福祉・防災都市東京」の実現と小池あきら氏の当選に向けて奮闘された組合員の皆さんに心より敬意を表します。
選挙戦の特徴は、第一に震災を前後して、防災及び原子力発電についての東京都としての考え方が争点として大きくクローズアップされたことです。震災予防条例を改悪し、「原子力発電推進論者」と公言してはばからない石原氏の今後を注視する必要があります。
第二に、石原氏の言動及び3期12年間の都政の実態が、残念ながら都民の間に十分浸透し切れなかったことです。「論戦力のある候補」として小池あきら氏が「都政政策」を語り、福祉とともに「防災都市東京」を訴えた唯一の候補者であったことに対して、新銀行東京、築地市場の豊洲移転、オリンピック招致など、悪政と失政の限りを尽くしてきた石原氏は、「震災からの復興」を口実にしてまともな論戦を避けました。また、他の有力2候補は、石原都政を評価すると述べ、それならば何のために選挙に出るのかとマスコミからも疑問が出されました。
第三に、東京自治労連組合員の総団結を何よりも優先させるため、小池あきら氏について、「推薦」ではなく「支持」の立場で闘ったことです。確かに厳しい闘いではありましたが、「革新都政をつくる会」に結集し、人的にも財政的にも貢献することができました。東京自治労連としての正式な総括は、第39回中央委員会(2011年5月28日開催)で行うこととします。
これから第4期石原都政が始まりますが、今後とも都政の民主化と都民・労働者の生活を守るために、単組・支部、各級機関の皆さんと団結して取り組んでいくことをあらためて表明するものです。
以上