東京自治労連当面の憲法闘争方針
2013年1月30日
東京自治労連中央執行委員会
1.憲法をめぐる状況と闘いの方向
自民党は2012年4月に「日本国憲法改正草案」を策定しました。ここでは天皇を「元首」と明記し、戦力の不保持や国の交戦権を認めないとした第9条2項を「内閣総理大臣を最高指揮権者とする国防軍を保持する。」に変えました。さらに13条についても「公益及び公の秩序」を優先して基本的人権を制限しています。地方自治に「役割分担」論を強調し、地方自治の本旨を逸脱しています。さらに選挙公約でも国防軍の創設、基本的人権の制限など憲法の原則を根本的に転換することを中心にすえ、改憲前にも集団的自衛権行使を可能とし、9条を事実上破壊する「国家安全保障基本法案制定」などを掲げてきました。このもとで総選挙の結果、衆議院では改憲勢力が3分の2を占める状況となり、さらには米国のシンクタンク・戦略国際問題研究所のマイケル・グリーン上席副所長は、集団的自衛権行使の動きなどを歓迎するなど危険な動きもあり、憲法改悪をすすめる体制を築こうとしています。
総選挙直後に安倍首相は「憲法第96条」の改悪によって9条をはじめとした改憲をすすめる条件作りとねらっています。さらに菅義偉官房長官は集団的自衛権行使の4類型について検討することを表明しました。そして新たな防衛大綱を策定することを明らかにしており、軍事費の1千億円増をもねらっています。すでに防衛省は今年度補正予算でも緊急経済対策と称して、PAC3ミサイル購入やF15戦闘機の性能向上のための改修をはじめ防衛装備品の整備に1805億円を要求しました。すでに安倍首相は「日本維新の会、みんなの党とは基本的に96条改正で一致できる」などとしています。
改憲勢力は7月の参議院選挙での大幅議席増をねらっており、一気に憲法改悪にふみだす危険が迫っているといえます。
一方、世論調査結果(毎日新聞、12年12月26日・27日)では、9条「改正」に「賛成」36%、「反対」52%、集団的自衛権行使を可能とする解釈変更に「賛成」28%、「反対」37%となっています。
このもとですべての組合員・国民に憲法をめぐる状況を知らせ、憲法改悪阻止の圧倒的な世論を早急に津々浦々からつくり出すことが求められています。とりわけ参議院選挙での一大争点にする運動が極めて重要となっています。そのために地域からいかに世論を広げきることができるかにかかっているといえます。
憲法東京共同センター、東京地評はこれらの認識に立って、春から夏にかけての憲法闘争を地域から大きく展開することを重視し、取り組むことを決定しました。東京自治労連は憲法東京共同センターの幹事団体、東京地評の中心組合として、積極的な役割を果たすとともに、自治体労働組合として地域住民の平和と安全を守り発展させるために取り組みをすすめます。
2.東京自治労連の取り組み
東京地評の憲法闘争本部としても、憲法東京共同センターの取り組みを基本に、闘争方針を確立することとしています。これらをふまえ、東京自治労連として以下の取り組みを各単組の力を結集して具体化します。
1)すべての組合員を対象にした職場学習会の開催、宣伝活動を強化します。そのために全労連作成の「憲法が輝く日本を」リーフレット、自治労連が作成予定の学習資料・リーフレットを各級機関役員の学習に活用します。また、憲法改悪阻止共同センター作成のチラシをすべての組合員の学習に活用します。
2)地域組織に憲法共同センターの運動再開・確立をめざし、地域労連、および地域の各団体の先頭に立って取り組みます。
3)各地域内の労働組合、団体(市民団体、町会や老人会、業界団体など)との懇談、運動の協力申し入れ活動を推進するために、積極的な役割を果たします。
4)地域の憲法共同センター、地域労連などと共同し、各自治体議会・首長への請願・陳情・要請を3月議会、6月議会を目途に取り組み、国への意見書提出をめざします。地元選出国会議員要請を実施します。
5)参議院選挙までを重視して新たに提起された「憲法を改悪せず、第9条を守り抜くことを求める署名」をすべての組合員・家族を中心に取り組みます。
6)地域労連との協議をふまえて「9の日」宣伝をはじめ、駅頭などの宣伝・署名行動を継続的に取り組みます。
7)憲法東京共同センターの「学習交流会」(3月3日13時半〜 東京土建練馬支部ホール)に参加します。
8)5月3日に開催される憲法集会に各単組・職場から参加します。
9)憲法をいかす自治体労働者東京連絡会の取り組みを強化します。
(1)代表世話人の拡充を求めます。(次回世話人会は2月8日に開催)
(2)「憲法を改悪せず、第9条を守り抜くことを求める署名」にすべての参加団体で取り組まれるよう働きかけます。
(3)憲法東京共同センターの提起について、連絡会の各団体が地域で積極的な役割を果たせるよう働きかけます。
(4)憲法学習会を早急に開催し、情勢と取り組みの意思統一を行うよう働きかけます。