2017年度 東京自治労連労働安全衛生活動方針
2017年5月17日
東京自治労連中央執行委員会
2016年度の活動を振り返って
東京自治労連労働安全衛生活動推進委員会では月に1度委員会を開催し、各単組での労働安全衛生活動の方針と体制の確立、単組の労安衛生活動の情報と課題や要求、当局の対応などについて活動交流を行いました。労働安全推進委員会を中心に労安活動の取り組みをすすめてきましたが、各単組からの推進委員の未選出、委員の出席が少ないなどの課題があります。
また、東京自治労連の大会が9月開催から3月開催に変更したこともあり、労安推進委員会では労働安全衛生活動の方針について「年間方針(3月)」「4月〜9月の取り組み方針」「労安集会基調報告(9月)」「10月〜3月の取り組み方針」の4つを1年間で作成していくことを確認しました。
具体的な取り組みの中では、超過勤務縮減・不払い残業根絶に向けて、6月8日に「2016超過勤務縮減・不払い残業根絶・36協定締結に向けた取り組み方針」を確立し、取り組みをすすめました。自治体キャラバンパート13での各自治体との懇談の中でも、そもそも職場と36協定を結んでいない自治体がかなり多く存在していることがわかりました。
さらに2015年12月よりストレスチェック制度の実施が「義務化」されましたが、そのことを踏まえ、労安推進委員会では5月22日に「『心の健康診断』ストレスチェック制度学習会」を開催しました。学習会では、ストレスチェック制度の本来の目的である「一次予防」として活用させていくよう学習を深め、労働者と職場の健康づくりの取り組みを前進させていくための意思統一をはかりました。
また、労安推進委員会の中で「ストレスチェックの集団分析の結果を受けて職場でどのような対応をとっているか」「健康診断について労働安全衛生規則に則って実施されているか」など労安推進委員を中心に各単組で調査を行い、データ化して労安活動に活用していく取り組みもすすめています。
1.2017年度の重点課題
「一億総活躍」のスローガンを掲げる安倍政権は、「残業代ゼロ」「解雇の金銭解決」について財界の意向に沿った労働法制の改悪を狙っています。一方で過労自殺など労働者の犠牲のもとで長時間労働、不払い残業問題が社会問題となるとともに、自治体の職場においても不払い残業の存在が明らかになっているもとで、メンタルヘルス対策も含む労働安全衛生活動の強化が求められています。
厚生労働省においては、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年1月20日)を公表し、従来のガイドラインから使用者の黙示の指示による労働も労働時間であると明確化するなど「労働時間の考え方」や自己申告制の時間管理を詳細にすることが追加されています。以下の2017年度の重点課題を都本部、単組で連携し取り組みをすすめましょう。
(1) | 各単組の2017年度の運動の重点として労働安全衛生活動を位置づけ、労働安全衛生活動の推進 体制を確立します。 |
(2) | 職場実態を掴み、要求と方針を確立し、安全衛生委員会での具体化と単組からの当局への要請な ど取り組みをすすめます。 |
(3) | 安全衛生委員会の毎月開催を実現させ、その開催に合わせて、労働組合として委員との意思統一 を行い、取り組みの具体化を図ります。 |
(4) | ストレスチェック制度の実効性ある改善に向け、取り組みをすすめます。 |
1) | 義務付けられたストレスチェック制度の2016年実施結果を踏まえ、問題点を明らかにし、改善要求を確立します。 |
2) | ストレスチェック制度の実効性ある改善、10人未満職場の集団分析の実施、対象者拡大など、安全衛生委員会での協議・具体化をすすめます。 |
3) | ストレスチェック制度の実施状況や制度改善に向け、「職場環境の改善等にいかすための各単組調査」を実施します。 |
(5) | 自治体職場全体での労働安全衛生活動を活性化させる取り組みとして、活動の推進体制に若手職員の参加も強めながら50人未満職場の労働安全衛生活動、自治体非正規・公務公共関係労働者の 活動を重視し、雇入時教育の実現、超過勤務縮減・不払い残業根絶、メンタルヘルス対策をすすめます。 |
(6) | 第16回労働安全衛生活動交流集会(2017年9月2日・グリーンホール)を開催し、安全衛生活動の意義や役割を共有化し、各単組の取り組みの到達点と今後の課題、運動の方向について意思統一を行います。 ※5年毎に実施している健康アンケートについては、ストレスチェックが義務化されアンケート項目も同様となるため、2017年度のアンケート調査については見送ることとします。 |
2.具体的な取り組み
(1) | 単組の重点課題として労働安全衛生活動を位置づけ、安全衛生委員会を軸とした取り組みを重視して労働組合活動としての日常化を図る取り組み 安全衛生委員との連携をはじめ単組での推進体制を確立し、労働組合として労安活動を、「安全衛生委員会」や予算・人員要求闘争と結合させて取り組み、来年度の予算人員に向けた要求書で労働安全衛生上の課題を掲げて、「安全衛生委員会」の議題として提起できるよう議論をすすめます。 |
(2) | 春闘期に雇入時安全衛生教育、雇入時の健康診断費用負担を当局の責任で行わせるよう求めます。 当局の責任による職種・職場ごとの安全衛生教育の実施を求め、とりわけ新規採用者の雇入時教育を別途職種別に実施するよう求めます。また雇入時の健康診断の実施義務が事業者にあることを踏まえ、当局に費用負担を求めます。 |
(3) | 50人未満職場の労働安全衛生活動の推進 各単組で労働安全衛生にかかわる活動方針で50人未満職場の労働安全衛生活動を重点とし、支部・分会執行部とも意思統一を行い、活動状況把握と要求集約を行い対策について検討します。 |
(4) | 自治体非正規雇用の労働安全衛生活動を各単組で具体化する取り組み |
1) | 各単組での労働安全衛生活動推進委員会等に対応する公共一般の支部からの参加を追求します。 |
2) | 安全衛生委員会の委員に非正規労働者の委員の選出を追求します。 |
3) | 非正規労働者の健康診断実施、公務災害・労災などの取り組みをすすめます。 |
(5) | 各種ハラスメント対策、メンタルヘルス対策を推進する取り組み 各種ハラスメント対策、メンタルヘルス対策を推進するための学習啓発の取り組みを前進させます。 |
(6) | 職員本位の「ストレスチェック制度」にしていく取り組み 職員本位の「ストレスチェック制度」にしていくために、ストレスチェック対象者、受診率や集団分析の有無など、各単組で状況を調査し、メンタルヘルス不調を未然に防止する制度として改善をめざします。 |
(7) | 本部推進委員会を強化する取り組み 東京自治労連労働安全衛生活動推進委員会を定期開催し、すべての単組からの参加で方針の確立、活動交流、学習や情報の共有化を図ります。 |
(8) | 超過勤務縮減・不払い残業根絶に向けた取り組み 自治労連は2017年国民春闘方針において、自治労連の全国一斉統一行動として5〜6月期に「長時間残業の一掃、予算人員闘争に取り組む労働組合の姿を職場に示す」「労働組合役員が予算人員闘争で職場に足を踏み出す契機とする」「職場の実態や組合員の声を直接つかみ、夏季からの予算人員闘争にいかす」ことを目的に「なくそう長時間残業、いっせい職場訪問」(仮称)の取り組みが提起されています。 東京自治労連の各単組での取り組みの具体化をするとともに、厚労省による新たな「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年1月20日)を活用した取り組みを強めます。また、36協定締結に向けては、「超過勤務縮減・不払い残業根絶に向けた、実効ある36協定締結の取り組み方針」(2016年6月)に基づき各単組での具体化を図ります。また、不払い残業根絶対策委員会を東京自治労連に設置し、労働安全衛生活動推進委員会と連携し取り組みをすすめます。 |
(9) | 「職場環境改善アドバイザー派遣事業」の積極的に活用について 一般社団法人地方公務員安全衛生推進協議会は無料で、職場環境改善アドバイザーの派遣事業を行っています。2016年1月に足立区保育園でも活用し、第3者の目で施設点検を行い改善箇所が指摘されています。2017年分の募集期間は終了していますが、2018年度実施に向け(募集期間2017年4月〜2018年1月)積極的な活用を検討する必要があります。50人未満職場や若手職員の労安活動参加促進や活動活性化に繋げる手段としても検討していく必要があります。 |
(10) | その他の取り組み |
1) | 働くもののいのちと健康を守る東京センターに結集し、公営企業財団法人社会医学研究センターなどと共同して労安活動を取り組みます。また、いの健東京センター第4回安全衛生学校(6月10日)に積極的に参加します。 |
2) | 第22回自治労連 労働安全衛生・職業病全国交流集会(6月3-4静岡)に労安推進委員を中心に参加します。 |
3) | 各職域での労働安全衛生活動を推進するため、職域部会からの労働安全衛生活動推進委員の選出をすすめ、幹事会での取り組みの具体化を検討します。 |
4) | 公務災害認定闘争などの取り組み 板橋区職労・三浦とし子さんの公務災害認定闘争の全面的な認定に向けて取り組みます。 |