2013年度 東京自治労連労働安全衛生活動方針
2012年10月24日
東京自治労連中央執行委員会
2012年度の活動を振り返って
2012年度は東京自治労連の労働安全衛生活動推進委員会を中心に、以下のような取り組みをすすめてきました。
@職場での労働安全衛生活動の具体化・活性化のために、年間方針および四半期ごとの取り組みを提起しすすめてきました。
A安全衛生委員会の設置が義務づけられていない職場での活動をすすめるために、学習会の開催をはじめ、「50人未満職場の労働安全衛生活動の取り組みのために」の方針を確立しました。
B東京自治労連労働安全衛生活動推進委員会を定例化して、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の動向をはじめ情報の共有化、節電対策や放射能の除染対策への対応などの課題について統一的対応を図ってきました。また「労働安全衛生活動推進ニュース」を18号まで発行し、方針と情報の共有化を図ってきました。
C5年に一度の健康アンケートに取り組み中間的な報告を行いました。最終報告に向けて現在分析をすすめています。
D「労働安全衛生活動ハンドブック」の学習を重視しました。
Eメンタルヘルス対策、各種ハラスメント対策については、自治労連が作成した「公務職場のいのちと健康を守る−安全衛生活動の手引き」(以下、自治労連「安全衛生活動の手引き」)の「メンタルヘルス・ハラスメント対策」の項を重視し、各単組での学習活動を呼びかけました。
これらの年間の取り組みの中で、世田谷区職労では現業職員の労働安全衛生活動の学習会を開催しました。また、単組での活動の保障となる推進体制の確立や安全衛生委員会前の労働組合としての意思統一、労働安全衛生活動の担当者による交流会など、いくつかの単組で取り組みが定着してきました。具体的には、管理職とともに毎月職場巡視を実施、臨時・非常勤職員を含めて50人以上職場となる保育園の安全衛生委員会の設置、安全衛生委員会委員に非常勤職員代表を入れるなどの取り組みがなされています。
節電対策については「執務場所の室温が28℃」の改善が行われ、東京都では環境局が「冷房機には室温28℃を目安に、それを上回らないように省エネを徹底」と通知するなど効果が現れています。
非正規労働者の分野では、公務公共一般が公務災害についての認識の程度や申請状況の調査を行うなど、今後の改善に向けた取り組みがすすめられました。
さらに職域での取り組みとして保育部会では総会で労働安全衛生活動方針を確立し、月1回の推進委員会を開催し、チェックリストによる職場点検活動、腰痛対策方針の確立と腰痛予防のパンフレットによる保育士の取り組みや、保育園看護師の腰痛改善に向けた活動、保育職場独自の衛生委員会の設置を重点に取り組みをすすめています。
一方で労働組合から要求しても未だに安全衛生委員会が毎月開催されていない、安全衛生委員会で改善の必要性で一致しても予算を理由に改善が実施されないなど、当局の不誠実な対応が見られます。また、組合員の健康状態は依然として深刻で「健康アンケート」結果でも、「やや不調」と「非常に不調」をあわせると29.6%(平成19年厚労省調査は17.1%)、また将来の健康不安について「大変不安」「少し不安」とあわせて85.4%、定期健診・人間ドックで異常が認められた人が32.1%となっています。このもとで組合員の多くが「人員の拡充」「業務量の削減」「職場の環境改善」「仕事と家庭生活の両立支援充実」「労働時間の短縮」を切実に求めています。疲労の原因は「能力・業績主義」人事管理制度強化で、人員不足による業務量の増・劣悪な職場環境・長時間労働であることは明らかです。また、公共一般や都庁法人に寄せられる相談でセクハラ・パワハラが増加しており、この根絶に向けた取り組みも重要な課題となっています。
今年度の労働安全衛生活動をさらに前進させるために2013年度の活動方針を提起します。
1.今年度の重点課題
今年度の東京自治労連として労働安全衛生活動の重点課題は以下の通りとします。
1)単組の重点課題として労働安全衛生活動を日常活動として具体化し、毎月開催を前提とした安全衛生委員会を軸として取り組みをすすめる。
2)労働安全衛生活動ハンドブック(以下、「ハンドブック」)を活用した学習と活動を具体化する。
3)雇入時教育を適正に行うよう求める。
4)50人未満職場の活動を重視する。
5)自治体非正規雇用・公務公共関係労働者の労働安全衛生活動をすべての単組で具体化する。
6)各種ハラスメント対策、メンタルヘルス対策を推進する。
7)東京自治労連労働安全衛生活動推進委員会(以下、「本部推進委員会」)を強化する。
2.具体的な取り組み
1)単組の重点課題として労働安全衛生活動を具体化し、安全衛生委員会を軸とした取り組みを重視して労働組合活動としての日常化を図る取り組み
単組の労働安全衛生活動を推進するためには「労働安全衛生活動推進体制を確立する。」「安全衛生委員会開催前に労働組合としての対応方針を意思統一する。」「労働安全衛生活動の方針を確立する。」ことが大切です。その上で以下の取り組みをすすめます。
(1)「2013年度 東京自治労連労働安全衛生活動方針」を東京自治労連2013春闘討論集会で意思統一します。
(2)単組で推進体制と方針を確立します
@担当三役・執行委員、安全衛生委員会の労働者側委員、各職場の担当者などを構成員とした推進体制を確立します。その際、単組の推進体制に当該の公共一般支部からの参加もめざします。
A単組としての年間方針を作成し計画的に労働安全衛生活動を推進します。
B定期的に推進会議を開催します。特に安全衛生委員会の前には意思統一の会議を持ちます。職場の労働安全衛生上の要求と課題を明らかにし、各安全衛生委員会に提案する議題を整理します。
(3)当局に安全衛生委員会の月1回開催を求めます。
労働安全衛生法で50人以上職場で義務化されている毎月1回の安全衛生委員会を開催するよう求めます。2006年改正労働安全衛生規則に明記されている委員会付議事項を基本に、要求を整理し事前に当局担当者との間で議題の整理をおこないます。
(4)産業医を積極的に活用して労働安全衛生活動を前進させます。
産業医の任務は、職場巡視や健康相談、メンタルヘルス不全対策の作成など多岐にわたっており、具体的な業務の実施を安全衛生委員会として求めます。これらの活動をすすめながら専任の産業医を配置するようめざします。
(5)予算人員闘争と結合して取り組みます
組合員の疲労や健康不安の解決のためには、人員増・業務量の削減・労働時間の短縮・職場環境の改善が欠かせません。安全衛生委員会の活動とあわせて予算人員要求闘争に取り組みます。
(6)超過勤務縮減・不払い超過勤務根絶、職場巡視活動の前進をはかります
@「慢性的超過勤務縮減・不払い超過勤務根絶に向けた取り組み方針」(2010年9月22日決定)の「安全衛生委員会での取り組み」では以下の点を提起しており、これらの具体化を図ります。
@ 当局と産業医による超過勤務縮減の取り組みの表明
A 産業医による長時間の超過勤務者に対する面接指導と当該職場をはじめとした職場巡視による実態調査
B 超過勤務の原因の検討
C 検討結果にもとづく当局への勧告
A職場の課題を実際に確認することが労働安全衛生活動の基本です。職場巡視を毎月1回産業医の参加の下に実施します。その際に事前に巡視する職場の労働安全衛生上の課題を産業医に示しておくことが大切です。なお、必要に応じて職場の管理職の立ち会いを求めます。
2)労働安全衛生活動ハンドブックを活用した学習と活動を具体化する取り組み
(1)各単組の執行委員会、労働安全衛生活動担当者を中心に、ハンドブックを活用して学習を行います。
(2)職場でハンドブックを活用して、日常的に労働安全衛生活動をすすめます。
3)雇入時教育を適正に行うよう求める
新規雇用者に対する教育は労働安全衛生法第59条、同規則35条で明確に定めています(別掲)。しかし、各自治体・外郭団体では、実質的な雇入時教育がほとんど行われていません。保育部会で取り組んでいる腰痛予防対策などは、当局の責任で雇入時に実施すべき教育内容です。保育、医療、現業職場をはじめ、「当該業務に関する安全、又は衛生のために必要な事項」について、適切な雇入時教育を行うよう求めます。
4)50人未満職場の労働安全衛生活動を重視する
安全衛生委員会を設置していない職場や少数職場では、労働安全衛生に関わる話題すらも出ない状況です。これらの職場の労働安全衛生活動について、単組・支部の執行委員会、及び推進委員会が意識的に取り組みをすすめることが必要です。その際、「50人未満職場の労働安全衛生活動の取り組みについて」(2012年4月18日決定)に基本に取り組みをすすめます。とりわけ共通職種・職場を統合した労働安全衛生委員会の設置に向けて各単組での取り組みを強めます。
5)自治体非正規雇用・公務公共関係労働者の労働安全衛生活動をすべての単組で具体化する取り組み
非正規労働者は公務災害についての知識もない労働者が半数近くに上ります。そして知っている労働者の多くは労働組合から教わったとしています。今年度は以下の具体的な取り組みを行います。
(1)自治体非正規直接雇用労働者の労働安全衛生活動をすすめるために、正規と非正規労働者が共同で取り組みます。
(2)正規の労働組合に設置する労働安全衛生推進体制に非正規労働者が参加します。
(3)各自治体の安全衛生委員会に、非正規労働者の課題を反映できるよう取り組みをすすめるとともに、安全衛生委員会に公共一般組合員が参加できる条件作りをすすめます。
(4)公共一般各支部で労働安全衛生上の課題を明らかにします。なお、公務災害が起こった場合は直ちに申請します。
(5)外郭団体等の労働安全衛生活動については、自治体単組の活動と同様に取り組みます。
6)各種ハラスメント対策、メンタルヘルス対策を推進する取り組み
自治労連「安全衛生活動の手引き」では、メンタルヘルス対策、各種ハラスメント対策について詳しく掲載しています。また、「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」もパワーハラスメントの概念や根絶に向けた提言を示しました。これらの学習を基本に組合員が働きやすく生きがいのある職場環境をつくるために、以下の通り各単組での取り組みを進めます。
(1)引き続き自治労連「安全衛生活動の手引き」の学習と討議をすすめます。
(2)各種ハラスメントについて以下の取り組みの実施を当局に求めます。
@「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」の提言について安全衛生委員会で学習し、各種ハラスメントの指針を作成するよう求めます。その際、個人の資質に責任を転嫁させないようにすることが大切です。
A安全衛生委員会で各種ハラスメントの研修会の開催、ハラスメント防止の啓発宣伝物の作成など、当局の責任で職場のハラスメント対策を具体化します。とりわけ管理職については必ず研修を受けさせるよう当局に求めます。
(3)早期発見・早期対応のために家族、同僚を含め、いつでもだれでも専門の相談を受けられる体制の環境整備を求めます。
(4)メンタルヘルス不全者に対する対応
@メンタルヘルス不全者が病気休暇などに入る場合に、専門家による支援を行う体制を確立させます。あわせて、職場の人員補充など条件整備の要求実現をめざします。
A職場復帰にあたって人事院の「『円滑な職場復帰及び再発の防止のための受入方針』の改定について(通知)」(2010年7月30日付け)も参考にして、主治医の判断にもとづき、無理のない計画、本人の合意を尊重した職場復帰支援のプログラムの策定を行わせます。
B職場に復帰した後も産業医や専門家のカウンセリングなどのフォロー、職場の理解、勤務体制のゆとりなどが必要です。労働組合としても仕事の割り振り、勤務時間、人員などの体制について必要な要求を行います。
7)本部推進委員会を強化する取り組み
本部推進委員会を定期開催して、各単組の取り組みの交流と到達点の確認を行います。
(1)本部推進委員会を以下の日程で定期開催します(内容等は予定)。
(2)自治労連や働くもののいのちと健康を守る東京センターの情報を適宜共有化します。
(3)各単組での取り組みを毎回提供していただき、単組間の活動交流を深めていきます。
(4)単組からの要求に基づいて学習会や資料提供を行います。
(5)東京自治労連第12回労働安全衛生活動交流集会を2013年9月7日(土)に開催します。
8)その他の取り組み
(1)健康アンケートの最終報告をおこないます
2012年6月を中心に実施した「健康アンケート」の最終報告をおこないます。特に「簡易ストレス調査」や厚生労働省の調査と同項目についての分析を行い、各単組にその結果を返していきます。また、各単組の安全衛生委員会に報告し議論の素材とします。
(2)各職域での独自の労働安全衛生の取り組みをすすめる
保育部会はより腰痛になりやすいといわれている保育園看護師の労働安全衛生活動に取り組んでいます。現業職場、医療職場など、各職域での共通した労働安全衛生の課題について、職域部会、現業評議会などで取り組みの具体化を図ります。
(3)人事委員会・公平委員会への措置要求、労働基準監督署への是正要求について
各単組から当局に対して、法で義務づけられている安全衛生委員会の毎月開催などを要請しているにもかかわらず、当局は2ヶ月に1回、あるいは年に4回の開催にとどまっている状況が続いています。また、安全衛生委員会で確認された事項が予算を伴うために実施されないなどの事態も生まれてきています。このような事態を打開するために、人事委員会・公平委員会への措置要求、労働基準監督署への是正指導要求を検討し、方針の具体化を図ります。
(4)各種学習会等への参加
各単組に学習資料等を紹介し活用を図れるようにします。自治労連、働くもののいのちと健康を守る東京センター、東京社会医学研究センターなどの主催・共催する集会、研究会、学習会へ参加します。とりわけ自治労連の労働安全衛生活動交流集会(6月1〜2日)、「働くもののいのちと健康を守る全国センター 学習交流集会」、「働くもののいのちと健康を守る関東甲信越学習交流集会」「働くもののいのちと健康を守る東京センター総会」に参加します。
(5)公務災害認定闘争などの取り組み
公務災害認定闘争に取り組みます。板橋区職労・三浦とし子さんの認定闘争については当該単組の要請に基づいて積極的に支援します。
また、ヒヤリハットについての事例をつかみ、安全衛生委員会に反映します。さらに職場での公務災害については小さな事故についても公務災害申請をおこなう取り組みをすすめます。
以上