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2007年2月7日 東京自治労連書記長 野村幸裕 | |
東京都は06年7月に発表した、「行財政改革実行プログラム」において、東京都版市場化テストを実施するとしました。そのモデル事業として07年1月、都立技術専門校における求職者向け公共職業訓練業務の「市場化テスト」による競争入札を行いました。その結果、国家資格取得学校を全国展開する株式会社リーガルマインドが、7事業中4事業を落札しました。 ところで「LEC東京リーガルマインド」は、この間不公正な行為が明らかになっています。05年2月には公正取引委員会から、司法試験の受験対策講座のパンフレットで「合格者の水増し偽装表示」を行い、排除命令がだされています。 経済産業省から、同社が設立したLEC大学の広報パンフレットを、国の委託費を使い新潟県内の高校に配布したとし、「委託外の業務であり、不適正な請求に当たる」として返還命令がだされました。さらに文部科学省からは、構造改革特区制度を理由として株式会社が初めて設立した「LEC東京リーガルマインド大学」において、(1)予備校のテキストを使い大学生と予備校生が同じ教室で授業を受けている (2)約170人の専任教員の多くが別の仕事と掛け持ちで、担当の授業を持っていない上、大学での研究活動もしていない (3)ビデオを利用した授業で教員がおらず、学生との質疑応答ができないケースがあるなどの実態が次々に明らかになり、改善勧告がだされました。さらに組織内で違法にソフトをコピーして「著作権侵害」訴訟において賠償命令が出されました。 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律では、欠格事由として第十条(十)で「これらの者が当該他の業務又は活動を行うことによって官民競争入札対象公共サービスに対する国民の信頼の確保に支障を及ぼすおそれがあるもの」とされています。不公正な行為によって営利だけを優先する企業に競争入札への参加を認めること自体、都民の信頼を裏切るものです。東京都が導入しようとする「市場化テスト」の目的としている「公共サービスの質の向上とコスト縮減を図る」ということと矛盾しています。導入を強行すれば都民がその犠牲になり、行政としての責任を果たせません。 東京自治労連は、公務公共業務の市場化は、質の低下を招き、住民に犠牲を強いるとして反対しています。「LEC東京リーガルマインド」の実態を職場地域に明らかにし、公共職業訓練業務の質を向上させ、都民が安心して暮らせる都政を求めて運動を強めます。 |